理学療法士の業務内容&なるために必要な資格・資質

理学療法士は病気や怪我、老化による身体機能の障害を持つ人に対して、筋力や関節の運動、マッサージや電気刺激、牽引などの物理療法を合わせて、日常生活に必要な動作に対する訓練や指導を行います。英語のphysical therapist (フィジカル・セラピスト)を略して、PTと呼ばれることもあります。

 

理学療法士の業務内容&なるために必要な資格・資質

 

「歩く」「座る」「立つ」「寝返りをうつ」といった基本的な身体機能を回復させることが、理学療法士としての主要な役割となりますが、介護施設では、それだけでなく、介護士が行う移乗や姿勢の保持、関節の運動などの日常的な動作に対して、指示・指導を行うことも大切な仕事となります。

 

理学療法士になるために、必要な資格

理学療法士は国家資格であり、職に就くためには、国家試験に合格しなければなりません。専門の養成学校で3年以上学ぶことで、受験資格が得られます。また作業療法士の資格を持っている場合には、養成学校で2年以上学べば、受験資格を得ることができます。

 

毎年の合格率は約95%以上となっていますが、現場で通用するだけのスキルを持たないと判断される学生に対しては、学校側が受験資格を与えることはありません。試験というのは、必要とされるだけの実力を身につけたことを確認するためのものと位置づけられており、合格率が高いからといって、決して楽なわけではありません。

 

受験資格を得るまでが大変ということを、頭に入れておいてください。なお、理学療法士の合格率は僅かながら、年々、下落傾向にあり、試験の難易度は上がっているということも覚えておいたほうがいいです。

 

理学療法士の職場

理学療法士の多くは一般病院やリハビリテーションセンター、身体障害者施設などで働いていますが、年々、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの高齢者施設でも、雇用が増えています。

 

また、健康促進という観点から、地域の保健センターにおいて、高齢者を対象とした健康セミナーの講師を務めたり、日常的な健康指導・相談業務にあたる、福祉機器・介護用品の販売メーカーにおいて、新商品の企画開発業務に従事するといった仕事も出てきています。

 

高齢化社会を迎える日本においては、今後は、高齢者向けの仕事が増えていくことが予想されており、実際に活躍の場が広がっています。

 

理学療法士の給与

理学療法士の給与は、作業療法士、言語聴覚士などと、ほぼ同じ水準であり、平均月給は約25万円程度、平均年収は賞与を含めて、約400万円程度となっています。

 

ただし、当人の経験・スキルによって、大きく差が出る職業であり、年収600万円、年収700万といった給与を得ている理学療法士も存在します。実力勝負という側面が強い職業なので、そういった意味では、やり甲斐を感じられる仕事と言えるでしょう。

 

なお、理学療法士の場合、常勤でなくて、非常勤(アルバイト・パート)でも、仕事に就くことが出来ます。この場合、時給は1200~1500円になるというのが、一般的なケースです。短時間勤務が可能な仕事なので、子育てをしながら、空き時間を利用して働くといったことも、十分に可能です。

 

ブランクがある人が、いきなり正社員として現場に復帰するのは不安なので、まずはアルバイトとして働いて、勘を取り戻してから、常勤社員にステップアップするといった例もあります。

 

理学療法士になるために必要な資質・特性

理学療法士というのは、人と接する仕事なので、人とのコミュニケーションが好きな人でなければ、務まらない職業です。また、理学療法士が相手にするのは、体が弱っている人、障害を抱えている人ですから、細かい配慮が出来るかどうかというのも、重要な資質となります。

 

また、リハビリテーションの過程では、患者さんのちょっとした言動や体の症状が、問題点・注意点を告げる大切な信号であることが多いので、普通の人であれば、見過ごしてしまいそうなサインに気付けるだけの観察力、注意力も必須です。

 

そして、もう一つ、理学療法士にとって重要なものは体力です。患者さんの介助を行ううえでは、それなりの体力・筋力を必要としますので、体が丈夫な人でないと、続けるのは厳しいでしょう。女性が活躍している職業でもありますが、運動をして体を鍛えているといった人が多いです。