言語聴覚士の業務内容&なるために必要な資格・資質

言語聴覚士は病気や事故による言語障害、脳性麻痺による言語障害や、音声障害、吃音、構音障害、聴覚障害を持つ人に対して、機能の回復や維持、向上を目標にした訓練を提供する仕事です。(英語のスピーチ・セラピストを略して、STとも呼ばれています。)

 

言語聴覚士の業務内容&なるために必要な資格・資質

 

高齢者に対しては、脳梗塞などの後遺症による言語障害や嚥下機能の低下、口腔内の異常に対するケアを行うことも、重要な役割となってきます。

 

言語聴覚士になるために必要な資格

言語聴覚士は、理学療法士、作業療法士同様、国家資格となるため、仕事に就くには、国家試験に合格する必要があります。受験資格は下記のいずれかとなります。

  • 専門の養成学校で3年以上学ぶ
  • 大学などで、規定の科目を履修している

 

合格率は、毎年70%前後となっていますが、その年によって難易度が変わることもあり、過去の例では、合格率が50%を下回ったこともあります。大学や専門学校で数年間、勉強をしてきた人達の結果ですから、難易度としては、それなりに高いものになっているのが分かります。

 

その背景には、同じリハビリ職でも、言語に関する分野は専門性が高いという事情が挙げられます。合格するには、かなりの勉強が必要になると考えてください。

 

言語聴覚士というのは、以前は日本聴能言語士協会などの民間団体による認定資格でした。(臨床言語士、言語療法士といった資格がありました。)

 

言語聴覚士は1997年に創設された比較的新しい国家資格であり、資格取得者が、まだそれほど多くありません。専門性の高い職業なので、求人自体も昔はそれほど多くなかったのですが、近年では、高齢者向け医療・介護の現場でニーズが高まっています。

 

そのため、年々、求人数が増えており、将来性は十分な仕事です。それだけに、今のうちに資格を取っておくことは、キャリア形成上、極めて有意義です。後ほども触れますが、経験豊富なベテランが少ないので、実績を積み上げれば、かなりの高収入も期待出来ます。

 

言語聴覚士という仕事に興味がある人は、出来るだけ早く資格を取って、現場に入ることを目指してください。

<アルバイトとして働きながら勉強するという選択肢>

病院やリハビリ施設、介護施設のなかには、無資格者であっても、アルバイトのような形で働かせてくれることもあります。その場合には、言語聴覚士のサポート役といったポジションになりますが、収入を得ながら勉強することが出来るので、金銭面の問題で、すぐに働きたいという人にはオススメです。

現場で業務を体験出来ると、業務に対する理解が深まるので、格好の試験対策にもなります。資格を取得した後は、正社員として採用してもらうことも可能です。

 

言語聴覚士の職場

現状では、言語聴覚士の8割近くが病院やリハビリテーション施設などの医療機関で働いていると言われており、次いで、老人保健施設や老人ホームなどの介護施設、及び、養護学校、障害者施設となります。

 

しかしながら、近年、言語、聴覚などの障害を持つ高齢者が多くなってきていることから、介護施設・高齢者向け施設での求人需要が急激に増えています。この傾向は今後も続くと予想されており、言語聴覚士にとっての最も代表的な活躍の場になってくる可能性が大です。

 

言語聴覚士の給与

言語聴覚士の平均月給は約28万円、平均年収は賞与・手当を含めて約450万円。作業療法士、理学療法士と比較しても、給与は高めです。言語聴覚士が不足していることから、好条件を提示する施設も少なからず存在しており、若手でも年収600万円以上を得ているケースもあります。

 

言語聴覚士になるために必要な資質・特性

リハビリ職のなかでも、言語聴覚士は専門性が高い職種なので、専門知識を習得していることが大前提となりますが、それに加えて、粘り強さと包容力が求められる仕事と考えてください。

 

リハビリというのは、すぐに結果が出るものではなく、長期的に続けていくものですが、言語障害、聴覚障害というのは、特に回復までに時間を要するものであり、短期間で劇的に状況が改善することは、まずありません。

 

そのため、粘り強く、患者さんをフォローしていく忍耐力が必要です。患者さん本人も、結果が出ないことに嫌気を感じてしまいがちなので、サポートをする側が焦ってしまっては、全てが台無しです。弱気になる患者さんを暖かく支えていけるだけの思いやりを持つことが必要不可欠です。

 

もう一つ、言語聴覚士にとって重要な資質は向上心です。専門性が高い分野なので、働きながら、常に自分を高めていくための努力が必要です。学校で学ぶことは必要最低限のことであり、職責を果たすには、全然足りません。

 

また、医療技術の発達に伴い、新しい知見もどんどん生まれています。資格を取ることが出来た、仕事に就くことが出来たといって満足していると、いつの間にか、自分の知識は古くなり、プロとして通用しなくなってしまいます。

 

言語聴覚士として働き続けたいのであれば、知識・スキルを磨く姿勢を持ち続けてください。そのためには、自分はまだまだと思う謙虚さ、素直さも必要です。