- 介護業界は、男性と女性で、転職のしやすさというものはあるの?
- 男性に向いている仕事(職種)、女性に向いている仕事(職種)など、男女で仕事の内容に違いがあったりするの?
初めて、介護の仕事に興味を持った人のなかには、こういった疑問を持つ人が少なくありません。介護・福祉というと、何となく女性が中心の仕事というイメージがあるからかもしれませんが、結論からいえば、基本的には業務内容や待遇には差はありません。
職員の構成という点で考えても、男女で大きく差があるわけではないので、介護は男性でも女性でも、同じように活躍出来る仕事と言えます。ただし、男性と女性で、やりやすさや向き・不向きといったことが存在するのも事実です。
こういったことを知っておくことは、実際に介護の仕事に携わる時には役立つので、覚えておいて損がないことをまとめてみます。
男性と女性の転職について
介護保険が始まった当初は、介護は女性の仕事でした。しかし、その時点においても、介護福祉士を持った男性が意外と多く活躍していました。
管理人は介護保険制度が始まる前から、介護業界で働いてきたのですが、現在のように介護職員は女性が良い、男性が良いと利用者が希望を口にするようになったのは、介護保険が始まってからのように感じます。
これは、介護を受ける側が介護保険の支払い義務が生じたことで、介護サービスに対する要求度が高くなり、『お金を支払っているのだから、選べないのはおかしい』と捉える傾向になったことが背景にあると言えます。
介護保険が始まる前には、利用者の負担はほとんどなかったため、職員の男女の希望などを訴える方はいなかったように記憶しています。
現在の介護業界の現状は、まだまだ、人材不足の段階にあります。介護保険が始まった頃は、男性職員に排泄の世話をされるのは嫌、入浴介助は女性が良いという時代があり、男性職員の門が狭かった時代もありました。
介護施設での男性職員は意外と好まれる
ところが、介護は重労働な仕事であるので、男性職員の力強い介護力が見直され、女性の利用者からも移乗介助など、か弱い女性にお願いするよりも安心出来るという事実が知れ渡るようになり、男性職員が懸念されるという風当たりは、いつの間にかなくなりました。
このような変化から、特別養護老人ホームなど、女性よりも男性職員のほうが多いといった介護施設も珍しくなくなってきました。主任となり、現場の介護スタッフをまとめる立場にある男性職員もたくさん存在します。
男性にとって在宅介護は敷居が高い?
このように、男性だからといって、不利が生じることは少なくなってきていますが、唯一、在宅介護に関しては、少し大変なことがあるかもしれません。在宅介護というのは、利用者の自宅において介護を行うことになりますが、原則スタッフ1人で利用者の自宅を訪問することになるので、男性だと、警戒されてしまう傾向が強いです。
特に初めて介護サービスを利用する方の場合、信頼関係が出来るまでに、苦労することが多いようです。初めに警戒されるのは女性職員も一緒ですが、やはり女性のほうが受け入れてもらいやすいということはあります。
また、訪問介護は介護と合わせて家政学が必要になる仕事内容でもあるので、女性職員を優先的に採用している事務所も存在します。そのため、転職を考えた時に、訪問介護サービスに関しては、男性は女性よりも、若干仕事が決まりにくいかもしれません。
ただし、女性を優先的に採用している事務所の場合、その旨を募集事項に書いてあることが多いので、特に記載がない場合には、男性でも問題ないと考えて大丈夫です。(男性職員でも訪問介護ヘルパーとして働いている人は、たくさんいます。)
男性の仕事、女性の仕事
先に述べたように、一般的には施設での仕事も在宅での仕事も、男性女性で、特に大きな差が生じるようなことはありません。
ただし、敢えて男性に向いている介護の仕事を考えてみると、ほんの少しの差ですが、重度の利用者が入所されている特別養護老人ホームは、男性職員に頼っている傾向があるように思われます。
特別養護老人ホームの仕事
特別養護老人ホームでは、寝たきりの方の介護・入浴介助など、決められた時間内において、多くの移乗介助や排泄介助をこなさなければならないという場面が多くなります。少ない職員で、業務を行うことになるので、1人当たりの負担は大きなものとなります。
小柄な女性職員の場合には、肋骨を折ってしまったり、疲労骨折などで負傷してしまうことも稀にあります。そのため、体力勝負の現場では、男性職員は頼られる存在になります。
(以前、テレビのニュースで、若くして引退したプロレスラーに対して、所属団体が介護職員への転職を支援、力仕事を難なくこなせるので、同僚からも利用者からも頼りにされているという話が出ていますが、分かるなと感じる部分が多くあります。)
通所介護の仕事
デイケアやデイサービスなどの通所介護では、利用者を送迎する際に、運転が必要になる場合があります。その時には、職員が送迎の運転をこなしながら、車のメンテナンスなどを行うのが一般的です。
この時、車に詳しい男性職員がいれば、円滑に送迎業務を行えるようになるので、施設側からすれば、貴重な存在となります。女性は機械に弱いので、この部分は男性に一日の長があると言えます。
また通所介護では、レクリエーションなどで盛り上げて楽しい雰囲気をつくるという役割もあります。男性の利用者に対しては、男性職員のほうが趣味など、話が合いやすいということがあるので、喜ばれることが多いです。
訪問介護ヘルパー
訪問介護の事業所が男性職員を受け入れているとしても、男性職員にとって訪問介護ヘルパーの仕事は、介護の仕事の中でも敷居が高いと感じることが多いと思います。
訪問介護ヘルパーの仕事は、短い時間で調理をしたり、買い物を頼まれて、野菜や魚を吟味するなど、ある程度生活のコツを掴んでいないと、判断に迷う場面が多いため、男性職員の場合には、家政学の面で不利になることもあります。
しかし、訪問介護ヘルパーでも、身体介護の時には、やはり男性職員の存在は頼りになります。
転職のコツ
介護業界における、男女差についてお話してきましたが、最後に男性・女性に関わらず、介護業界に転職して、成功するためのコツをお伝えさせて頂きます。
介護の仕事は、どんな職種であれ、向き合うのは、いつでもそこで過ごしている利用者です。自分がその施設または事業所で、どのように働きたいか、利用者にどのようにかかわっていきたいかを明確にしておくことが重要です。
一人一人の利用者に対して真摯に向き合うことが、あなたの介護スキルを向上させることにつながるので、このことは忘れないようにしてください。