日本では、一つの会社で長く働き続ける人を評価する傾向があり、転職回数が多い人というのは、問題アリとみなされ、転職の難易度が高くなるという実情がありますが、介護業界では、どうなのでしょうか?

 

転職回数が多いからといって、採用で不利になることはない

 

結論から言うと、単純に転職回数だけでは判断されないというのが介護の世界です。さすがに2ヶ月ごとにコロコロ職場を変えているといったようなことだと低評価となりますが、1年ぐらいで施設を変わるのは珍しいことではないので、転職回数が多いから、それだけで不利になるということはありません。

 

一つの施設で長く働いてきたAさんと、転職回数が多いBさんの事例

分かりやすくするために、具体的な転職事例をもとに、説明させて頂きます。介護ヘルパーとして、デイサービスで3年間働いてきたAさんと、介護歴はAさんと同じ3年だけど、転職回数が4回あるBさんの事例です。

 

Aさんが勤務していたデイサービスは、定員が少ない小規模な施設。この施設で働き続けたことで、すっかり介護業務にも慣れて、その施設ではベテランとして、中心的に働く存在へと成長しました。(実際、3年というのは、介護業界においては、十分に一人前と評価される年数となります。)

 

ただし、小さな施設なので、利用者が少なく、Aさんが実際に介護を担当した利用者は3年間で20名でした。これは経験値としては、決して多い数ではありません。

 

介護というのは、生身の人間を相手にする仕事であり、サービスを利用する人は一人一人違います。そのため、ある人に対してうまくいったやりかたが、別の人にそのまま通用するということは、まずありません。

 

一人ごとに、その人に合ったやりかたを模索していくことになります。そのため、色々な人と接して、経験を積むことで、個々の状況に対応する力を養うことが重要です。

 

だからこそ、介護業界では、経験者の位置づけが高くなるわけですが、そういった観点で見ると、Aさんの場合、勤務年数という点だけをみればベテランですが、経験人数という点では、見劣りします。

 

Aさんが、別の施設に転職した時には、全く新しい人を介護するわけですが、これまでの経験人数が20人しかいないため、苦労する可能性が高いです。

 

働いていた施設の規模も重要

また、Aさんの場合、小さな施設での勤務経験しかありません。こういった人が大規模施設に転職すると、今までと勝手が違い、最初は大変です。

 

施設の規模が大きくなればなるほど、業務は複雑になりますし、介護スタッフも増えるので、スタッフ間の連携・連絡なども増えてきます。小さな施設だと、自分一人の裁量で動ける部分が多いのですが、大規模施設だと、チームとして業務を遂行することになるので、チームワークも重要になります。

 

こういったスキルは、実際に大きな施設で働いて実際に経験してみないと、身につかないので、Aさんのような人は、実質的にゼロからのスタートとなるので、こういった点でも苦労することは確実です。

 

Aさんよりも、経験の幅が広いBさん

一方、Bさんは、最初はAさんと同じデイサービスで働いていましたが、1年後、定員50名の比較的、規模が大きなデイサービス施設に転職、さらに、その後、2回転職を行い、特別養護ホーム、訪問介護サービスでも働きました。

 

3年間でBさんが介護を担当した利用者数は、トータルで100名を軽く超えます。Aさんとは比べものにならない経験人数となります。また、様々な介護サービスを経験してきているため、経験の幅も広くなっています。

 

勤務年数はAさんとBさんは一緒ですが、両者を比較した場合、採用する側からすれば、圧倒的に評価が高くなるのはBさんのほうです。どんなことにも対応出来る即戦力として、是非とも欲しい人材となるので、給与面で優遇することもあるでしょう。

 

一方、Aさんは経験内容という点で、不安を抱く面があります。Aさんが働いていたような小規模施設であれば、採用する側も特に問題は感じないかもしれませんが、大規模施設の担当者だと、ゼロから教えないといけないことがあると見るので、その点はマイナス評価となります。

 

現実的には、介護業界は人手不足であり、どういった経緯があれ、3年も働いている人というのは、貴重な人材なので、実際に面接を受けて落ちるということは、まず無いと思いますが、重要なことは、転職回数ではなく、その中身ということです。

 

Bさんのように、転職回数が多いことは、プラス評価につながることのほうが多いので、単純に転職回数が多いから不利になることは無いと考えてください。

 


介護業界における転職回数の位置づけについては、下記ページでも触れていますので、興味がある人は、合わせてお読みください。