覚えておきたい、介護施設ごとの転職のしやすさ・収入の違い

老人ホーム、デイケアサービスなど、介護施設は多岐に渡ります。職場という観点で見ると、基本的に給与条件などは同一なのですが、ただし、施設によって転職のしやすさや、収入の違いなどが存在するのも事実です。

 

介護施設ごとの転職のしやすさ・収入

 

介護業界において転職を考える時には、少しでも自分が満足出来る職場で働くうえで、こういった背景を知っておくことが重要です。そのため、このページでは、介護施設ごとの転職のしやすさ、収入の違いについて、まとめてみます。

 

入所施設の転職事情

あらゆる介護施設のなかでも、最も人材不足の傾向が強いのが老人ホームなどの入所施設であり、日本全国、どの地域においても、求人の中心となっています。入所施設においては、24時間体制の介護を必要とするため、日勤だけでなく、夜勤が前提となる求人が多いのが特徴です。

 

常勤職員の場合、交代制勤務(シフト勤務)が避けられないと考えてください。一方、パート、アルバイトの場合には、夜勤はやらずに日勤帯だけ働く、逆に夜勤帯だけ働くといったように、勤務時間について、自由に希望出来るケースが多いです。

 

入所施設での常勤職員は、勤務が交代制のうえ、重労働な割に低賃金ということから、働き手が慢性的に不足しており、現状を考えると転職はしやすい状況にあると言えます。また、好条件を提示することで、人材を確保しようという考えを持つ施設が少数ながらも出てきているので、収入アップを目指す人は、地道に一つ一つ、求人をチェックすることが重要です。

 

なお、入所施設側が夜勤に対応出来る常勤職員を希望していても、急募の場合などでは、止むを得ず、日勤のみということで、常勤職員を雇う場合もあります。売り手市場にあるのは間違いないので、融通を効かせてくれる可能性は十分にあります。

 

気になる施設がある場合には、勤務時間を相談してみることをオススメします。逆に言わなければ、施設側から、敢えて条件を緩めることはしないので、ダメ元で交渉するという姿勢が何よりも重要です。

 

通所施設の転職事情

次にデイサービスやデイケアをはじめとする通所系の介護施設についてですが、こちらは日勤帯のみの勤務となるため、入所施設よりも働きやすい勤務体制にあると言えます。かといって、入所施設よりも給与が低いというわけでもないので、人気度は通所施設のほうが高いです。

 

そのため、求人の競争倍率は高くなるので、希望条件に合う求人を見つけたら、早めに応募することをオススメします。最近では介護予防としてのデイサービスやデイケアが、増えはじめているので、こういった求人を狙うのもアリです。

 

なお、最近のデイサービス、デイケアでは朝の帰りに利用者を車で送り迎えする送迎サービスを介護職員が行う施設が増えており、車の運転が出来る人のほうが好まれる傾向にあります。そういった意味では、車の運転に不安のあるという人、運転免許を持っていないという人は、不利になることもあるかもしれません。

 

ただし、そうは言っても本職は介護なのですから、気負いすることはありません。施設側が何より求めているのは、当然、送迎サービスの運転が出来る人材ではなく、介護が出来る人材なので、遠慮なく応募してください。運転の可否については施設側から、事前に確認してくれるはずです。

 

入所施設と通所系施設の違い

老人ホームなどの入所施設とデイケア、デイサービスなどの通所系施設では、利用者のおかれている環境も介護職員としてのかかわりも大きく違います。

 

介護保険制度の観点からしても、老人ホームなどは施設介護ですが、通所系サービスは施設がありつつも、位置づけとしては、在宅介護に振り分けられています。

 

老人ホームなどでは、利用者の暮らしの中に介護職員が入り、支援していきます。時間によってはレクリエーションを行ったり、機能訓練としての運動やリハビリをする活動の時間もありますが、基本的には、利用者が生活しているという事実をしっかりと配慮したうえで、介護サービスを提供していかなければなりません。

 

対象的にデイケアやデイサービスなどの通所系サービスは、あくまでも活動の場であり、利用者の生活の場は自宅にあります。従って、デイケアやデイサービスの介護職員は、利用者が自宅での生活をいつまでも続けられることを目標として、働きかけていくことが必要になります。

 

同じ施設での介護サービスですが、この違いを理解しておくことは、転職先を選ぶうえで、非常に重要な要素となってくると考えてください。

 

収入の違い

介護業界で働くことを考えている人が、最も気になる要素の一つである収入の違いですが、老人ホームなどの入所施設とデイケア、デイサービスなどの通所系サービスを比較して、基本給については、それほど差はありません。ほぼ同等です。

 

資格手当てについては、各施設によって違うので、施設の違いによって一概に、こうとは言えません。ただし、施設介護のほうが、資格手当てが付くケースが多いので、この点は頭に入れておいたほうがいいです。

 

また、老人ホームなどでは夜勤が発生しますが、一回あたり2000円〜10000円程度(平均4000円程度)の夜勤手当が支給されることになります。月4回と仮定すると、毎月16000~40000円程度の手当てがもらえるという計算になります。

 

これは、基本給が安い介護の仕事においては、貴重な収入源となります。夜勤に対応出来る頻度が高い人ほど、単価がアップする傾向がありますし、夜勤対応スタッフが少ない施設でも、手当を厚くしてくれるケースが多いので、夜間に働くことに支障がないという人は、夜勤を軸に転職先を決めるという考え方もアリです。

 

また、介護施設の運営母体は社会法人、医療法人、民間会社など、様々ですが、民間会社よりも社会法人、医療法人が運営する介護施設のほうが、賞与や退職金制度、有給付与などの待遇が恵まれているケースが多いです。

 

結論としては、収入だけを考えれば老人ホームなどの入所施設のほうが、夜勤が発生する分だけ、高収入が期待出来るといえます。しかし、夜勤は体のリズムを崩しやすく、負担のかかる仕事でもあります。

 

施設によっては、夜勤帯の勤務時間が長く設定していることもあります。夜勤がある施設を希望する場合には、勤務時間はどれくらいになるのか、仮眠時間はどれくらいとれるのかなど、就労環境において、事前に確認しておくことをオススメします。

 

額面の収入だけで判断すると、後々、後悔してしまうこともあり得るので、総合的に判断するようにしてください。特に、長く働き続けようと思えば、その施設の雰囲気や、作業負担の度合いが重要です。