サービス提供責任者はホームヘルパーが所属している訪問介護事業所において、リーダー的な役割を担う存在です。利用者の介護業務を実際に行うのはヘルパーですが、優秀なヘルパーがいれば介護業務が成り立つというわけではありません。
必要とされる介護サービスというのは、人によって違いますが、その人の状況に合わせて、必要な計画を立てるのが、サービス提供責任者としての大きな役割となります。
また、状況によっては、ヘルパーの数が不足するケースもありますが、そういった時には、限られた人員をうまく配置して、介護業務に滞りがないようにすることも、サービス提供責任者の重要な仕事となります。
「訪問介護事業所が、一組織として介護サービスを過不足なく提供するコト」
サービス提供責任者は、そのためのコーディネーターとしての役割を担う重要な仕事です。
訪問介護事業所には、社会福祉法人、社会福祉協議会、市区町村の公的機関、民間企業、NPO法人など、様々な機関がありますが、例外なくサービス提供責任者の配置が義務付けられています。業務内容は多岐に渡りますし、必要とされるスキルも高く難しい仕事です。しかし、その分やりがいのある仕事とも言えますし、給与・待遇面も恵まれたものになります。
このページでは、サービス提供責任者の業務内容についてまとめていますので、参考にしてください。
サービス提供責任者の主な業務内容
1:ヘルパーの管理
サービス提供責任者は、ホームヘルパーの勤務管理を行います。これは「単純に、予定の空いているヘルパーを利用者に割り振るだけ」ではありません。
ヘルパーと利用者の相性を考えて、担当するヘルパーを決める配慮が必要ですし、初回の訪問介護や、担当ヘルパーが交代となる時には、同行して引き継ぎの仲介を行います。また、担当しているヘルパーが急に休むといった場合には、サービス提供責任者が現場へ向かい、介護サービスを提供することもあります。
訪問介護は1人で利用者と向き合い、介護サービスを提供する仕事ですから、不安を抱えているヘルパーも少なくありません。ヘルパーからの些細な疑問にも傾聴し、良き理解者となり、一緒に解決していく姿勢が必要です。
また、利用者がヘルパーに対して不安を感じるケースもあります。そのような場合には、仲介役として間に入ることも仕事の1つです。介護サービスが円滑に提供できるように、「ヘルパーと利用者の架け橋となること」が求められます。
2: 新規利用者の対応
ケアマネージャーからの、訪問介護依頼を受けた時に、利用者宅を訪問、相手の要望の聞き取り、介護サービスの説明、契約の締結などを行います。まず、利用者やその家族が、どのような介護を希望しているかを把握したうえで、提供出来る介護サービスを見極めます。
また、その過程において、利用者や家族からの相談に応じたり、提供する介護サービスの内容について説明することで、理解を得ることも重要です。
利用者の状況や要望は多岐に渡ります。別の介護サービスを受けている場合もありますし、初めて介護サービスを利用するという人もいます。事業所に所属するヘルパーの能力では対応出来ないかもしれませんし、そもそも、介護ヘルパーの数が足りないかもしれません。
様々な要望に対して、何でも出来ますとただ受け入れるのではなく、利用者の要望とヘルパーの能力・空き状況を客観的に判断したうえで、提供出来るサービスを説明することが求められるわけです。
また、介護サービスの利用が決まった場合には、契約を締結することになりますが、その時には、提供するサービス内容はもちろんのこと、保険対象外サービスの説明など、料金的なトラブルにならないように、確実に伝えることが求められます。
3: 訪問介護計画書の作成
ケアマネージャーが作成するケアプランに沿って、介護サービスの内容を具体的に組み込んだ訪問介護計画書を作成します。作成した訪問介護計画書は、利用者や利用者の家族へ説明、同意を受けることになります。
利用者の心身状態の変化により、提供する介護サービスの内容が変わることも珍しくありません。その時には、訪問介護計画書を、その都度修正することになります。
4:サービス担当者会議に参加
サービス担当者会議に参加するのも、サービス提供責任者の仕事の1つです。在宅で介護を受けている利用者の中には、様々な在宅介護サービスを利用されている方もいます。
それぞれの介護サービスの担当者が集まり、利用者についての情報を交換・共有することで、利用者への総合的な介護の質を高めたり、利用者がさらに満足出来る介護サービスを提供出来るようにすることが、この会議の目的です。
介護サービスを提供するうえで、利用者と接するのはヘルパーであり、サービス提供責任者は利用者の細かなことまで把握することができません。つまり、ヘルパーとコミュニケーションを取り、利用者の状況をヒアリングしておくことも求められるわけです。
まとめると、以下のことが求められます。
- 利用者の状況をヘルパーからヒアリング
- ①の内容を他の介護事業所へ情報発信
- 他の介護事業所からの情報収集
- ①~③を把握、利用者へ反映
ただ会議に参加するのではなく、状況を把握し、さらなる改善へ活かすための思考力も必要になります。
5:連絡業務
ケアマネージャーや家族への連絡や報告を行います。介護サービスを契約通りに提供出来ている場合でも、問題がないとは言い切れません。ヘルパーさんが悩みを抱えているかもしれません。
また、介護が必要な利用者がいる家族というのは、「このままで良いのか」と日常的に不安を抱えているものです。
ヘルパーからのヒアリング内容をケアマネージャーへ報告したり、利用者・家族からの介護相談に対応したり、ケアマネージャーからの指示を現場へ伝えるなど、連絡や報告をこまめに行う必要が出てきます。
それぞれの部署・利用者とのパイプ役となり、サービスを円滑に提供するため、連絡業務は欠かせない仕事です。
6:業務管理
ヘルパーが行っている業務に問題がないか気を配ります。サービスを受ける利用者が不満を感じていないことはもちろん、介護サービスを提供するヘルパーが、悩みを抱えていないか気を配ることも必要です。
希望があれば利用者宅へ訪問、話を聞くこともありますし、ヘルパーと話をすることで、問題の有無をチェックする意識も大切です。介護サービスは、「人」による「人」へのサービスです。
契約内容やサービス内容に変更はなくても、ちょっとした感情の変化で、不満に思ったりすることは少なくありません。介護サービスを受ける側・提供する側の双方が、不満を抱かない環境作りを意識することが求められます。
介護事業所の規模が大きくなると、サービス提供者が複数存在することもあります。その場合には、お互いの仕事を尊重しながら協力し合い、業務をすすめていく協調性も必要です。